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トリセツってなんだ?

取扱説明書、操作マニュアル、ガイドライン、手引、手ほどき?

はじめて製品やサービスを購入した時に、どう使用すればいいのか、説明してくれる案内役を担う説明書を「取扱説明書」略して「トリセツ」と呼ばれるようになりました。


 
トリセツの目的は、製品の 使い方をガイドして、 製品に備わった機能を発揮させて、購入者に満足してもらうことです。

「安さにつられ買ったものの、使い方がわからず、そのままどっかに放りっぱなし」なんて話を、誰でも一度くらい耳にしたことがあると思います。

近年の主流の考え方では、「買ったみたものの、使用することができない製品」は、 購入前の情報提示に問題があり、たとえ不良品でなくともメーカーの責任が問われることになります。

もっと言えば、購入後すぐに製品を使用して目的を果たせる権利が購買者にあって、「製品取扱のために習得時間を強いられることは不本意な負担である」とまで(言わずとも)感じています。イラチな関西人なら、なおさらのことです。

トリセツがなければ操作できないような製品は、 [製品+トリセツ]の総体的な完成度が低いと評価されるようになりました。
 

ユーザーインターフェースのわかりやすさ


1990年代に「CS経営:組織的に継続的な顧客満足向上を志向する経営」を産業界こぞって提唱するるようになり、機械操作のインターフェイスにもわかりやすくする(大きな字、誤認しにくい表示など)工夫が見られるようになりました。

まずは「製品」と、その製品を利用する「人」が利用したい機能にたどりつき、次の操作を間違えず、目的を果たすためのガイドをどう向上させるかに工夫を重ねることにメーカーがこぞって注力し始めたのです。


50代前後(アラフィフ)になれば自然とわかるようになる、手元の文字が読めなくなる「老眼」との戦いは、私自身が30代の頃には気づけなかったことです。

渡辺謙が「世の中の文字は小さすぎて読めなーい!」とプレゼンするハズキルーペのCMは、まさに現代の多くの人が一様に感じている不満を露呈するものでしたね。

新聞も、雑誌も、企画書も、トリセツも…。
たくさんの開発費をかけて製品化された製品が、操作ボタンの文字が小さくて読めないだけで、製品が使用者からは怒り心頭の対象に変化してしまうのです。
 

肥大化するトリセツからミニマム化へ


一方で、みなさんがお持ちのスマホ、購入したパッケージに分厚いマニュアルはついていなかったのではないでしょうか。

多機能携帯電話:ガラケー(2008年〜)は、メーカーごとに特化した機能を満載したために、「取扱説明書」と、その倍の分厚さの「かんたんマニュアル」がパッケージ内容のほとんどを占めることになります。

われわれユーザーは、読みきれない情報に翻弄されてきたのです。

スマートフォン時代になると、箱から出して、ユーザー登録の儀式を済ませば、だいたいの操作はアイコンを押して進めばなんとかなるように、操作が直感的シンプルになりました。

それによって「分厚いマニュアルを順に追わなければ何もできない」ようなことからは開放されるようになり、お年寄りでも(辛うじて)使っておられるようです。

*私の両親もショップ店員にそそのかされて、高級機を購入して使っています。電話としてしか使っていませんけれど、私より大きな画面のスマホを持っています…。もったいない。

[参考]トリセツ薄型化への取り組み(Softbank)2008
[参考]トリセツ不要への提言(我が家のつくば物語)2009
[参考]トリセツリサイクルへの取り組み(KDDI)2004

 

トリセツなんか、もう要らないんじゃないか


 
という声が聞こえてきそうですよね。

スマホは 画面全体で表示ができますが、世の中のほとんどの製品は「表示」できる機能はごくわずかです。

二つ折りタイプのガラケーは、上半分が液晶ディスプレイ、下半分が十字キーとボタンが占めていたので、表示はドットが荒い文字中心。
普及するにつれ、 絵文字も追加されてきましたが、多用すると 本来の伝えたい情報が遠のくというイタチごっこになっていきました。

高機能電子レンジは、液晶パネルに文字を表示して、いろんなことを教えてくれます。おすすめレシピまで教えてくれる、おせっかい機能までついているものまで現れましたが、ほとんどの家電製品では、電源ONで小さく点灯するLEDインジケーターや、扇風機の首振りと風量の強弱ボタンのランプ点灯が精一杯の「表示」です。

トリセツには、ISOをはじめとする国際的な標準団体からの司令に準じる必要があります。(特に輸出入される製品)
また産業別に業界団体からの要請など、さまざまな制約が求められます。

さらに世界のあらゆる国で使用されるに製品は、自社製品の製造者責任(PL法)をどう担保するかといったことにも頭を悩ませられます。

日本語版で完璧を期しても、対訳翻訳の精度、使用される国ごとの文化慣習の違いなど、配慮すべきことはたくさん出てきます。

特に 訴訟大国であるアメリカでの製品使用は、あらゆる想定を念頭に置いて、誤使用をさせない注意書きを用意しておく必要があります。

トリセツのカオスな沼にはまらないよう、メーカーは自社製品とユーザーとの橋渡しを担うインターフェイスとしての、わかりやすいガイドを準備していかなくてはなりません。