dialogue serves

トリセツの勘所

わかりやすい指示ってなんだろう?


 

犬でもわかる

 
繰り返し、辛抱強く、報酬の食糧と引き換えに、人間がやって見せて、真似させる。
 
これが犬にでもわかる指示です。
目的なんてどうでもいいんです。意義や大義なんて犬には伝わらない。
犬でも猫でもイルカでも同じでしょう。
 
ただ、動物とヒトの間に、信頼関係や相互の愛情関係が生まれると「相手の気持を汲み取る」ような、眼には見えない「絆」のようなものが芽生えてくることがあるようです。
 
ヒトが疲れていたり、悲しんでいることを汲み取ると、動物から寄り添ってきたり、コンタクトしてくれる。
 
これは「トリセツ」にはできないことですね。
 

ヒトがわかる

 
親が子に対して教える、躾けることは、人から人への指導の基本型ですね。
 
「そんなことしちゃ、いけません」
「こういうときには、こうしなさい」
 
はじめは怒られながら、そのうちきちんと実行すれば褒められるから、親の言うことをきくようになります。お利口さんになっていきます。
 
報酬は「怒られなくてすむ」「褒められる」。
 
トリセツは、ユーザーを怒ったりしません。褒めることもしません。
 

人に正しく認知させる困難

 
人は感情を持っています
朝から妻と口論になって、イライラしている人。
通勤電車の席の取り合いで不条理な敗戦をきたし、モヤモヤして出社した人。
 
人には多様な性格があります。
マニュアルの類は読んだためしがない、いきなり目につくボタンを押してしまう人。
初めのページから舐めるように一言一句順に理解しないとボタン一つ押せない人。
 
文書の理解力にも多様性があります。
どんな悪文を読んでも、不足する情報を補完して、ほぼ(書いた側が勝手に)期待したどおりの指示に辿り着ける人。
文章からちょっとでも淀みを感じると、先に進めなくなってしまう人。
そもそも日本語がほとんどわからない外国人のユーザ。
 
指示へのアクセシビリティにも多様性があります。
視力に問題があり、小さい文字が判読できない人がいます。決して少なくありません。
色弱の人には、色の判別が難しい色があります。
会話は普通にできるのに、文字情報の処理(読み書き)がうまくいかない人がいます。
 
指示をする側には「こんなことはカンタンでしょ」と思う説明や指示が、たやすく理解しがたい人が意外と多くいることを知っておいたほうが良いです。
 
誤解を避けるために、さまざまな配慮をした説明や指示が、100%正しく伝わることは、まず無いのです。
 

Photo by Mikael Seegen on Unsplash

 
もし誤解、誤認を起因とする怪我をユーザーが起こしてしまったときに、正しく説明できなかったトリセツの性能を問われる時代です。
 
どれだけ優秀な性能を保有する商品やサービスでも、誤解・誤認をひきおこすトリセツが、総合的な性能を引き出せないのなら、高性能なパフォーマンスは「使えない過大な性能」と烙印を押されてしまうのです。